詩人との往復書簡

【恋ヲスル果実】感想最終回

『恋ヲスル果実』感想6  投稿者: 沢木理桜  投稿日: 4月27日(水)00時28分38秒

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午前0時マンダリンソープの浴槽(バスタブ)でひとり無口な果実となりぬ


> 感想のコメントありがとうございます。
> 沢木さんと話せてよかった。
> わたしは短歌は書きませんが、沢木さんの短歌を読むことによって、
> 深い世界を味わい楽しむことができました。
> 沢木さんと短歌に出会えてよかったと今では思っています。

こちらこそ、光冨さんとのやりとりはとても楽しかったです。
自分の短歌についても深くもう一度考えることが出来た時間になりました。

短歌はとても深い世界です。
そして、詩も同じように深いですね。
私ももう10年のおつきあいになりますが、光冨さんと出逢えてよかったと思います。
私が、短歌を今詠んでいられるのは光冨さんの刺激によるものがとても大きいですからね。これからも光冨さんは「詩」を、私は「短歌」を通して、お互いの世界を表現していけたらいいですね。


> 最後になりますが、沢木さんにとって“恋”って何ですか?

おっと!最後にすごい質問ですね。
うーん、そうですね。私にとって”恋”はいろいろな意味がありますが、
一言で言うと”自分らしく生きることが出来る力”ですね。
かなり大げさですが、やっぱり一言だとこれなのかなと思います。

6首にわたっての丁寧な感想を本当にありがとうございました。


【恋ヲスル果実】24

『恋ヲスル果実』感想6  投稿者: 光冨郁也  投稿日: 4月25日(月)19時57分6秒

午前0時マンダリンソープの浴槽(バスタブ)で
ひとり無口な果実となりぬ



感想のコメントありがとうございます。
沢木さんと話せてよかった。
わたしは短歌は書きませんが、沢木さんの短歌を読むことによって、
深い世界を味わい楽しむことができました。
沢木さんと短歌に出会えてよかったと今では思っています。

最後になりますが、沢木さんにとって“恋”って何ですか?

【恋ヲスル果実】23

『恋ヲスル果実』感想6  投稿者: 沢木理桜  投稿日: 4月25日(月)01時15分45秒

午前0時マンダリンソープの浴槽(バスタブ)で
ひとり無口な果実となりぬ


今日で光冨さんとの短歌についてのやりとりもラストになりますね。
とても楽しい、そして新しいことを発見させていただいたやりとりになったと思います。

では、短歌について。

この歌は光冨さんの感想や想像の通りの歌です。
午前0時という一日の終わりでもあり、始まりでもある時間にしたのは、意図したものです。光冨さんがかかれているように、一日の終わりは恋の終わりでもあり、また新しい一日の始まりは新しい恋へ向けての始まりでもあると考えたからです。
つまり、恋の終わりと始まりを同時に表せるものとして午前0時を選びました。

歌集の最後にこの短歌を選んだのも、同じ気持ちからです。下にかかれていましたが、短歌の構成も恋の始まりから終わりまでになっていて、この短歌がもっとも最後の恋の終わりになっているんです。
しかしながら、ここからまた新しい恋が始まるともいえます。
恋はえんえんと繰り返されるリングのようなものですから。

お風呂に入り、自分を振り返ることが出来るゆったりとした時間に、マンダリンソープの甘酸っぱい匂いとともにあれこれと自分の恋を回想しています。恋は果実のように甘くて酸っぱくて、そして、切ない。恋をしていた私は果実そのものだったのかもしれない。また、マンダリンソープはそんな私という果実をも投影しています。

マンダリンソープのように、ただただ自分の恋の思い出を、後悔を、やりきれなさを、哀しみを、切なさを、黙って受け止めていくしかないと思っているのです。

この自分を映した果実とマンダリンソープは失った恋への痛みを持つ自分です。が、この痛みは恋を失くした瞬間の悲しいだけの自分とは違います。少し時間を経たことで、自分を客観的に落ち着いてみることが出来ている一面も持っています。
だからといって、全てが綺麗さっぱり簡単に消えたわけではない。このどうにもならない恋の終わりの痛みには「ただただ黙っているしかないのだ・・・」と「もう黙ってしまおう・・・」「黙ってしまいたい」というあきらめともやりきれなさともいえる気持ちが混在しています。

それらの気持ちすべてが「無口な果実」という言葉に込められています。

文法的なことですが、
「ぬ」はおっしゃるように「完了」の意味です。ひとり無口な果実になってしまった・・・です。

光冨さんが最後にこの歌を選ばれたのも何か意図があったのでしょうか?と思わざるを得ませんが、私にもさきに触れたように深い意図があったのです。

【恋ヲスル果実】22

『恋ヲスル果実』感想6  投稿者: 光冨郁也  投稿日: 4月23日(土)09時03分25秒


午前0時マンダリンソープの浴槽(バスタブ)で
ひとり無口な果実となりぬ



午前0時、一日の終わりまたは始まり(?)の境目の時間。
マンダリンソープとはオレンジにに似た果実のマンダリンの石けんのこと。(香りを楽しんだりしますし、癒し効果もあるのでしょう)浴槽でその石けんを使っているのか、泡のお風呂に浸かっているのか、そんな感じでしょうか。
話者はひとりお風呂に入っている。静かな時間、その一日(あるいは恋をしていた数ヶ月とか)はいろいろなことや、心に残る、たとえばうれしいことやつらいことや悲しいことや、そんなことがあったかもしれない。
自分自身もマンダリンの石けんのような、無口な果実となってしまう。
(「ぬ」は「打ち消し」の意ではなく、「完了」「強意」の意ですか。ひとり無口な果実になる、なってしまう、という感じ。)

恋の歌集のラスト、沈黙の歌で終わります。思えば、

ローマ字で君の名前を書いたなら
1mg軽く思えり



から始まったともとれる恋が(まるで一日の終わりのように)、終わってしまったようにもとれる。ラストの作品は少しロマンチックな、抒情的な感じもする歌でした。話者はお湯につかり、何を思ったのでしょうね。

【恋ヲスル果実】21

『恋ヲスル果実』感想5  投稿者: 沢木理桜  投稿日: 4月14日(木)21時49分52秒

この夏をひとつ残らず受けとめて
キバナコスモス庭うめつくす



そうですよね。光冨さん自身が詩を書いているから解釈の点について自由なのはわかっていますね。
たぶん、光冨さんは書いてあるようにイメージが先行したんだと思います。あのページに収録されている意味をわかる人はどれだけいるのかわからないですが(今回、初めてあの短歌の感想をいただいたので)いろいろな意味で私も気付かされた部分があります。
こういうやりとりがあるからこそわかったことで、短歌の深さを改めて知った気がします。
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rio sawaki


恋は果実のように
sweet and bitter・・・
君に恋した瞬間から
私のまわりのあらゆるもの、
時間、空気が匂いと色を生んでゆく

歌を詠む人・沢木理桜の短歌、詩、日記などデス
◆Book Information◆
my短歌集「恋ヲスル果実」
2005年3月15日新風舎




恋のフレーズ集「キミがスキ。」作品掲載
2006年2月14日新風舎


  

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