君の「寂しい」という声が聞こえた
君の「会いたい」という声が聞こえた
君の「ごめんね」という声が聞こえた

私の「寂しい」という声が届いた?
私の「会いたい」という声が届いた?
私の「ありがとう」という声が届いた?

窓ガラスを叩く風の音に紛れて
君の声が時々本物になる夜の電話

ふたりでいつもくるまっていた
タータンチェックのブランケット

君の匂いが体の隅々まで行き渡る瞬間
私はまるで子犬のようになる

君の声が聞こえ・・・私の声が届く
ぷちっぷちっと入るノイズが聞こえるたびに
互いの声を探し求めていた

「おやすみ」
君と私の言葉がひとつに重なりあえば
それぞれの長い夜はいつか空けていく

それは今年一番の木枯らしが吹きあれた日のこと